ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜
オズヴェルドは、カルディアと別れた後、ゆのに会いたいという心を落ち着けるために自分の鏡を見に来たのだった。
誰も入らないはずのこの部屋に人の気配を感じたオズヴェルドは、殺気が出ないよう隠しながら、そっと鏡まで近付いてきた。
力があるオズヴェルドにとって、等身大の鏡は命と同じぐらい大切だ。
もしもクレア王妃の手先の者だったら・・・
命の危機だ。
そこまで考えていたのに、オズヴェルドしか知らない場所にある部屋のスイッチを入れると、そこにいたのはさっきまで会いたかった少女。
しかしーーー
会いたいという気持ちよりも、疑心が先立った。
「何故ここにいる? 操られてるのか?」
クレア王妃が、ゆのを通してオズヴェルドを狙ってくると見越したレヴァノンの意見で別れたのだ。
その数日後にここにいるのだから、怪しまれても仕方がない。
「違うっ、操られてなんかないよ!」
「ならば何故ここにいる? お前は本当は、クレア王妃の手先なのか!?」
「だから違うって!」
疑いの眼で見てくるオズヴェルドに、悲しさと怒りが溢れてくる。
「私は自分の時計を探しに来たの! 貴方が隠してるんでしょ!? 返してよ! 私の時計!」