ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜
「一体誰が・・・?」
ハジはそう口にしたが、考えられるのは1人しかいない。そう、ゆのだ。
ハジは思考を巡らせた。ユノの力では鏡を割ることはできないだろう。もしかしてクレア王妃に操られているのか・・・?
「ユノは?」
姿を探せば、ソファに横たわっていた。
「手刀で眠らせた」
ゆのを見るが、パッと見る限り異常はない。
「レヴァノンが以前言っていたな。ユノがクレア王妃に召喚された理由は、特別な何かがあるからじゃないか、と」
ユノには秘密があった。もしかして、それがーーー? ハジはオズヴェルドの言葉に耳を傾ける。
「ユノには、歌の力があった」
歌の力!?
横目でちらりと見ると、レヴァノンも考えあぐねているようだった。顎に手をあて、なにか呟いている。
「『交わされる約束』・・・」
「そうだ。『交わされる約束』に出てくるアリアと同じように、ユノには歌の力がある」
オズヴェルドの目線の先には、ヒビの入った等身大の鏡があった。
「この鏡はあとでいいとして・・・ユノが時計を探していた」
オズヴェルドがそう口を開くと、二人は驚いたようだった。
「時計って・・・ユノの?」
「ああ」
「どうして? 自分で持ってないの?」
「・・・ああ」
「・・・オズが持ってるの?」
ハジの問いに静かに頷いた。
ゆのの時計はオズヴェルドが持っていたのだ。
「なんでオズが?」