ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜
「最初は何者かわからなかったから時計を隠しておいたんだ。怪しくないとわかってから渡そうとは思っていたんだが・・・」
今思えば、ユノが時計の意味を知ったとき自分以外の誰かと約束を交わすのが嫌で教えなかったとも言えるかもしれない・・・。
「ユノには時計や鏡の話はしていない。誰かが話してユノに時計を探すよう入れ知恵したに違いない」
「それだったら、テト様じゃないか?」
オズの意見にすぐ答えたハジ。
「何故テトだと思うんだ?」
「だって、テト様はユノと」
そこまで言いかけてハジは気が付いた。オズヴェルドにはゆのが軽い呪いをかけられたことや、おそらくテトがユノに約束を交わして欲しいと言ったことを報告していなかった、と。
「そんな顔をしてももう遅い。早く知っていることを話せ」
オズヴェルドのチョコレート色の瞳が厳しさを滲ませる。ハジは洗いざらい話すことになってしまった。
ハジが全て話した後、オズヴェルドは黙りこくってしまった。
先程のゆのを責めるような発言をしてしまったことを後悔していたのだ。
「とりあえずユノを部屋に連れていく」
どちらの部屋に? とは聞けなかった。しかしレヴァノンは違う。
「オズヴェルド様。お気持ちは察しますが、ユノ様の部屋に行きましょう」
そんな言葉だけではオズヴェルドが納得できないことは分かりきったことだ。
「オズヴェルド様と一緒にいないということは、ユノ様が利用されない可能性が高くなります」
ゆのの安全を第一に考えていたオズヴェルドは、レヴァノンの話を聞いて考えを改めることになった。