ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜
「王位継承権を得ても得なくても、ユノと俺は一緒にいられないじゃないか」
オズヴェルドの発言はもっともだった。確かに今のままではゆのと共にいることはできない。
「それでも、テト様の側室になってしまうよりはいいでしょう?」
「・・・」
黙ってしまうオズヴェルドを横目にレヴァノンは続けた。
「ユノ様のことはミーシャに任せて、我々はオズヴェルド様の鏡の修復について考えましょう」
その言葉は実行され、ゆのにはミーシャがつきっきりで看病している。しかし相変わらず目を覚まさず、3日目を迎えようとしていた。
「ユノはまだ目覚めないのか・・・」
ゆのが寝ている間だけでも一緒にいたいと、オズヴェルドは仕事の合間に顔を出すようにしていた。
ーーーコンコンッ
「どうぞ」
ゆのの部屋に来客なんて珍しいと思いながらも返事をするオズヴェルド。
「オズ兄様・・・」
姿を現したのはテトだった。
「ユノは・・・」
そう言いながら、ベッドに横たわるゆのが視界に入ったらしい。顔色が悪いのが目に付いたのだろう。テトはオズヴェルドに詰め寄った。
「ユノは具合が悪いのですか!?」
「・・・ああ」
「どうしてです?」
「・・・無理をさせすぎた・・・」
オズヴェルドの力のない返事にテトは顔を歪ませた。