ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜

ユノがこの世界に残りたいと思っていたことをオズヴェルドは知らない。それでも。ユノがどんな気持ちだったのか考えたら、テト様に委ねるなんて・・・


「馬鹿野郎! お前は大馬鹿者だ!」


ハジはいつもひょうひょうとしていて、掴みどころのないやつだった。そんな人間が本気で怒っている。

オズヴェルドは口の端を抑えながら、ハジを見据えた。


「・・・ハジ、お前・・・」


まだ殴り足りない様子のハジを見て、オズヴェルドはわかってしまった。


「お前、ユノが・・・好きなのか・・・?」

「・・・・・・は?」


呆気にとられた顔をしたハジは、あまりの驚きに怒りを忘れてしまったようだった。


「なに言ってるの? 今はオズの話でしょ」

「・・・いや、なぜそんなにお前がムキになる?」

「ムキになってなんか!」


ない、と言おうとしたのだろうが、ハジ自身もこのおかしいと感じたのだろう。目線が宙を漂う。


「僕はただ、オズの側室だから・・・」


そう言いながらも今までを振り返る。

本当にそれだけだろうか? ユノに抱いていた感情は・・・。

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