ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜
☆本当の気持ち
自室に戻ったオズヴェルドは、ゆのをベッドに寝かせた。そして首に掛かっている時計を取り出す。
本当はこんな荒療治は避けたいのたが、テトやツバルが戻ってくる前にユノを目覚めさせたかった。
時計の蓋を開けて針を掴むと、時計回りに三回まわす。
カチカチカチカチ
カチカチカチカチ
カチカチカチカチ
小型の鏡を取り出し、言葉を紡ぐ。
「時は満たされた。目覚めろ」
ゆのの時計とオズヴェルドの小型の鏡が輝く。
「やはり等身大の鏡にヒビが入ってるから威力が弱いか・・・?」
オズヴェルドは王族で、ゆのには歌の力がある。特別な者同士のアイテムは、共鳴して特別な力を生み出すーーー
そう聞いていたのだが、やはりダメか・・・!?
ーーーバンッ
「オズ!」
ノックもなしにハジが飛び込んできた。
「早かったな」
「ツバルはテト様の対応に夢中になってたから置いてきた」
「・・・そうか」
クレア王妃はテトを傷付けるつもりはない。時間はあと少しだろう。
「僕の鏡も使う?」
ハジは王族ではないが情報通だ。一般には知られていないことも知っている。オズヴェルドがゆのに今行っていることも知っているのだろう。
「文献で読んだことあるだけなんだ。本当にこんなことできるんだね」
ハジは感慨深そうだ。
「鏡を借りたいところだが、上手くいくかわからないからな。俺もこれを実践する日がくるとは思ってなかったよ」