ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜
病み上がりだからと抱きかかえられて、抵抗も虚しくあの絵の前まで来た。
「この絵・・・『交わされる約束』の絵でしょ?」
「そうだ」
「どうしようもなく惹きつけられて、この月に触れちゃったの」
「この絵を見ると、不思議な気持ちになる・・・行くか」
オズヴェルドは月に触り、扉を開いた。
いざ鏡を目にすると、自分がやったこととはいえ酷い現状にゆのは泣きそうになる。
オズヴェルドの命のように大切な鏡なのにーーー
時計を出し反時計回りに3回まわす。
カチカチカチカチ
カチカチカチカチ
カチカチカチカチ
♪『 揺るがない 想いがある
きっといつか 届くように
時計よ まわれ
鏡よ 戻れ
2人の気持ち 寄り添うように
疑わない心 持ち続けて』
パァァァァァーーー
眩しい光が鏡を包み込んだ。
「よかった! 上手く行ったみたい!」
ゆのの明るい声に促されて見れば、ヒビが入っていたとは思えないほど元の状態に戻っている鏡がそこにあった。
「これが・・・歌の力なのか・・・」
そっと触れてみたが、なんの違和感もない。
「なおってよかった・・・」
「ありがとう、ユノ」
「私が壊しちゃったんだから当たり前のことしただけだよ」
「いや、俺が・・・」
このやりとりは終わりそうにない。
「オズ・・・聞いてほしい話があるの」