ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜
「ユノ様は髪も瞳も漆黒ですから、夜の送りの儀式では本当に真っ黒になってしまいますね!」
暗い顔をしたゆのを励まそうとしたのか、ミーシャは笑ってそう言った。
「送りの儀式はどんなことをするの?」
「死者を弔う言葉を述べて、鏡と時計を死者に向けます」
「鏡と時計・・・」
ここでもまた鏡と時計だ。クロヴァローゼ国では、切っても切り離せないもののようだ。
「ですから、ユノ様も時計を忘れないようにしてくださいね」
「わかった」
実はいつも首からかけているので、ミーシャの心配は必要なかった。
「送りの儀式では、できるだけオズヴェルド様とご一緒に行動なさってください」
「うん」
「王位継承権第一位のアレン様が亡くなられた今、クレア王妃様がどんな行動をなさるのか心配なのです・・・」
ミーシャのアメジストのような瞳には、涙が浮かんでいた。
「ミーシャ、泣かないで」
「私っ、ユノ様のこと、本当なお慕いしております! だから、心配なんですっ」
ミーシャを見ればわかった。心の底から心配してくれている。
「わかった、気をつける! だからもう泣かないで?」
「すみません・・・」
それからゆのは、ミーシャをなだめながら夜まで過ごした。