ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜
小さく呟かれたその声は、どこかで聞いたことのあるような声だった。フードをかぶっているのか、髪の色がわからないため容姿では判断できない。ゆのは必死に思考回路を巡らせた。
「・・・あ!」
頭に思い浮かぶのは、黄色い瞳。
ぐいっと引っ張られて、身体がもつれる・・・と思ったら力が弱まり、首から何かが抜ける気配がした。
そっと首元に手を伸ばすが、求めていたものはない。
「壊してやる」
ハッキリと声に出されて、暗闇に黄色い瞳が浮かんだ。やっぱりーーー
「カルディアさん、時計を返して
!」
ゆのの時計を奪ったのは、カルディア・キッシュだった。
「なに!? カルディア嬢だと!?」
オズヴェルドが近付いてくるのが声でわかる。
あの時計が壊されてしまえば、元の世界に戻るという選択肢が失われ、こちらの世界に残ったとしてもオズヴェルドと約束を交わせなくなってしまう。
カルディアが時計を地面に投げつけよう大きく腕を振りかぶった!