ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜
ユノは行ってしまった。
鋭い眼差しでクレア王妃を睨むが、そんなものは何にもならない。
「送りの儀式を続ける」
クレア王妃のその言葉で、何事もなかったかのように送りの儀式は行われた。
「 アレン・グレスト・クロヴァローゼよ、安らかに眠りたまえ」
小型の鏡と時計が生み出す不思議な光がアレンの眠る棺を照らす。
あまり関わりのない兄だった。しかしその存在は大きく、ついに兄弟はテトと自分だけになってしまった、という寂寥感が胸に溢れた。
そのまま滞りなく儀式は進み、いよいよ解散となったときーーー
「お待ちください」
レヴァノンの声が響き渡った。
「何用だ?」
「アレン様の送りの儀式の直後だと十分に理解した上で申し上げます・・・。王位継承権について明らかにすべきだと思います」
ざわっと会場中がどよめいた。
「おい、レヴァノン!」
流石にまずいとオズヴェルドは思ったのだが、レヴァノンは止まらない。
「アレン様がお亡くなりになられた今、事実上の王位継承権第1位はオズヴェルド様ということでよろしいでしょうか?」
クレア王妃はレヴァノンを冷たく見つめたまま何も言わない。