ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜
大きなブルーの瞳に、一瞬苛立ちがはしった。
やはりオズヴェルドが邪魔なのだろう。
「・・・わかった。国民の声に従って、オズヴェルドに王位継承権第1位を授けよう」
わあああ、と歓声が大きくなる。
「オズヴェルド様、万歳!」
「これでこの国も安泰だなぁ」
「オズヴェルド様でよかった!」
そんな声が聞こえる。
ちらりとオズヴェルドはテトを横目で見た。
なんとも言えない顔をしている。
そもそも、テトも王位継承権には興味がないとオズヴェルドは思っていた。
今王位継承権を欲しがる理由とすれば、やはりーーー
「ユノ、か」
その名前を漏らせば、テトは弾かれたようにオズヴェルドを見た。
「テト、お前にユノは渡さない」
「・・・・・・」
チョコレート色の瞳とブルーの瞳が空中で火花を散らした。
先に目を逸らしたのはテトだった。
「・・・せいぜいユノが罪に問われないように善処してください」
「当たり前だ」
既に背を向けて歩き出しているクレア王妃の後に続き、テトは来賓館を後にした。
残されたオズヴェルドは小さく呟く。
「絶対にユノを取り戻す」