ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜
☆裁判
オズヴェルドが王位継承権第1位を得たことも知らないまま、ゆのは部屋に用意されたベッドに腰掛けていた。
部屋をぐるりと見渡す。
清潔感はある。
でも・・・
後宮にありそうな、女性用のドレッサーや鏡、クローゼットなどは一切なかった。
そして、厚く覆われたカーテンをどけて見て絶句した。
「なに、これ・・・!?」
窓はあった。
しかし、その先には鉄格子がはめられていたのだ。
「なんで!?」
窓の鍵を外そうとゆのは手をかけた。
ーーーガタガタッ
動かない。
窓の鍵も開かない。
開いたとしても鉄格子がある。
反射的に部屋のドアへと走り寄った。
囚われの身だ。開かないことは頭の片隅ではわかっていたが、思わず確かめずにはいられなかった。
ーーーガチャガチャ
開かない。
「やだっ、やだっ、オズヴェルドっ・・・」
自分ではどうしようもない力に押さえつけられる環境。
ゆのはフラッシュバックを起こしてそのまま床に倒れ込んだ。