ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜

「ユノはどこに捕らわれている?」


レヴァノンは内密に調べたことをまとめた結果を述べた。


「おそらく後宮かと・・・」

「・・・そうか」


予測できなかったわけじゃない。

ある程度身分があれば後宮に捕われるのは慣例のこと。

しかし、ユノはオズヴェルドの側室であるが身分がない。後宮に入れられるか普通の牢屋か判断がつかなかったのだ。


「牢屋はあまり環境がよいとは言えませんが、後宮でよかったとも一概には言えません」

「あそこはいろいろな噂があるからな・・・」

「クレア王妃様のことですから、何を企てているかわかりませんし」

「そうだな・・・」


あの後宮は、クロヴァローゼ国の昔の王が、正室よりも身分が低い側室を愛しすぎてしまったことが理由で作られた。

自分が正室といる間、側室がどこで何をしているのか常に把握していたい・・・。そんな歪んだ愛情を持つ王が、ある日その側室が側近と仲良さげに話しているのを見て嫉妬に狂い、側室を閉じ込めるために作ったのだ。

そのクロヴァローゼの黒歴史を忘れないために、また位の高い人の牢獄として使い勝手がよい、という理由で残されているものなのだ。

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