ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜
「被告人、入廷」
オズヴェルドは、カルディアが裁判所に入廷してくるのを静かに見つめていた。
証言台に立つカルディアは、どこか吹っ切れたような顔をしていた。
聴衆席は満席で、名家の娘の裁判が注目されていることを表していた。
「ただいまより、被告人カルディア・キッシュの裁判を行う」
裁判所長官、ホルン・オーエンが担当だった。
「ホルン殿は公正な判断を行うことで有名です。カルディア嬢の罪は免れないでしょう」
レヴァノンがそう言うのなら間違いないだろう。
「被告人、名を述べよ」
「カルディア・キッシュです」
「この証言台の上では如何なる虚偽も許されない。嘘をつかないことを誓うか」
「はい、誓います」
「罪状、神聖なる送りの儀式を乱した罪。被告人は罪を認めるか」
「はい、認めます」
カルディアは目線を逸らさずホルンだけを見ている。
やけに素直過ぎて、オズヴェルドは違和感が拭えなかった。
「しかし・・・このことは私の意思ではございません」