ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜
「被告人、今の発言・・・どういう意味だ?」
ざわめく観衆たち。
それも無理はない。
名家の娘が罪を犯したことを認めたのに、その発言は、まるで誰かにやらされたかのようなーーー
「あの小娘に操られていたのです」
「・・・あの小娘、とは?」
「オズヴェルド様の側室を名乗る、異世界から来た小娘です。あの小娘が不思議な力を使ったところを見たでしょう? 私はあの力によって操られていたのです!」
ざわざわざわーーー
「くそ、そうきたか・・・」
「なかなかずる賢いですね・・・」
レヴァノンも驚いている。
「しかし、ユノがやったと証明はできない。そうだろう?」
「はい、証明はできません。しかし、証明はできないだけでもしかしたら・・・という雰囲気は残るかもしれません」
ただでさえ異世界から来て注目をあびる身だ。そのような雰囲気を作りたくはない。
「・・・つまり、オズヴェルド様のご側室である、ユノ・ヒーラギ様に操られた・・・という解釈でいいのか?」
「はい」
「・・・その証言台ではいかなる虚偽も許されない。今の証言・・・本当に偽りではないのか?」
「はい、もちろんです」
視線を逸らさない、自信に満ち溢れた態度。
「しかし、つけいれられた私にも罪はあります。自分の意思ではないとはいえ、 アレン・グレスト・クロヴァローゼ様の送りの儀式を邪魔したことに変わりはありません・・・」