ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜
「あの送りの儀式では、被告人がユノ様を襲った。被告人の言うように、ユノ様の自作自演だとしたら誰が得をするのだ?」
「あの小娘です」
「なぜそう言える?」
「私はオズヴェルド様の正室に立候補しました・・・。きっと邪魔者を排除しようとしたのでしょう・・・」
カルディアの証言を聞いてオズヴェルドは呆れてしまった。
邪魔者を排除?
ユノがカルディアを邪魔だと思うほど、俺はお前に興味を示していない。
第一、ユノは誰かを邪魔者だと思ったり陥れたりするやつじゃない。
しかし・・・それは俺の主観であって、証明できるものは何もない。
「確かに貴女はオズヴェルド様の正室に立候補していた。私の記憶に間違いがなければ・・・断られていたと思うが?」
ホルンの言葉に傍聴席にはクスクス笑いが広がった。
「私に言わせれば、オズヴェルド様がおかしいのです。きっとあのときの言葉も、あの小娘に操られていたのだと・・・」
ホルンがちらりとオズヴェルドを見た。
真っ直ぐなオズヴェルドの瞳から真意を捉えたらしい。
「被告人、被告人席へ。証言台へどうぞ、オズヴェルド様」
オズヴェルドの登場に裁判室がざわめく。
「私の名前は、オズヴェルド・ルーカス・クロヴァローゼ。嘘偽りなく証言することをここに誓う」
右手の握りこぶしを左胸に当てて、オズヴェルドは高らかに宣言した。