ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜
クレア王妃は、自分の息子に王位継承権を与えるために、正室や側室、オズの兄弟を狙ってきたってことーーー!?
「クレア王妃は俺が邪魔なのさ」
自嘲気味にそう言ったオズヴェルドは、ゆのの顔に手を伸ばした。
頬に触れながら、しっかりと目を合わせてくる。
「ユノを、俺の側室だからと言う理由で危険な目にあわせたくないんだ」
「オズ・・・」
「何をやっても俺がなかなか死なないから、クレア王妃も焦っているんだろう」
「そんな・・・」
「俺は王位なんて欲しくないのにな・・・」
目を逸らして小さく呟いた言葉は、ゆのの耳にも届いていた。
どうして王位を欲しくないって言ったの?
何度も狙われて、つらくないの?
誰もオズを助けてくれなかったの?
いくつもの疑問が口に出せずに消えた。
今は部屋にひとりきりだ。
明かりを灯す気にもなれない。
今日は、眠れない夜を過ごす予感がした。