ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜
ベッドの近くにある椅子に座ると、テトはさらりと驚くようなことを言った。
「実はね、今日は母様・・・クレア王妃の使いとしてここに来たんだ」
「えっ!?!?」
あのクレア王妃の使いとして!?
仲良くなってしまってよかったんだろうか・・・一抹の不安が過ぎる。
「まぁ、私がオズ兄様を射止めた人に興味があったってのが本音だけどね」
「射止めたなんて・・・」
「オズ兄様は生涯正室しか持つつもりはないって言ってたから、本当にびっくりしたんだ。もしかしたら・・・周囲に言っていないだけで、本当はユノは側室から正室に上がる約束でもしてるの?」
ブルーの瞳が漆黒の瞳を捉える。
「わ、私が正室なんて・・・」
あるわけない。
私は本当の側室ですらないのだからーーー。
「そうなの? てっきりオズ兄様はそのつもりだと思ってた。私から見たオズ兄様は、好奇心旺盛な優しい兄なんだ」
「好奇心旺盛?」
「そう。小さい頃から気になるものがあったらすぐに追いかけたりしてね」
クスクスと綺麗にテトは笑う。
そういえば、オズの鏡の前で倒れてた私の面倒を見てくれたのも、もしかして好奇心旺盛だから?
そう考えるとすごい人だ。普通はそんな怪しい人の面倒を見たりはしないだろう。