ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜
「オズ兄様は、整った容姿だけでなく頭脳も優れているしとても強い。それにとても人望があるんだ。私の憧れの人だよ」
そう話すテトのブルーの瞳は優しくて。
オズヴェルドのいいところをたくさん話してくれるテトは、とてもいい人だとゆのは感じた。
「体調はよくなってきてるみたいだね」
そう言われてゆのは気付いた。体調不良のフリをするのを忘れていたのだ。
「最近はずっと部屋にいて少し退屈してたの。でもテトがたくさん話してくれるからよくなったみたい」
なんて言ってみた。
あれ? テト、顔が少し赤い?
「そっか、それならよかった。今度はユノが話してよ。ユノのこと知りたいな」
そんなキラキラの笑顔でそんなこと言うなんて。日本で言えば天然タラシみたいだけど、この容姿なら違和感がない。
「えっと・・・私のこと?」
「ユノが好きなこととか教えて?」
好きなこと・・・。
1番に頭に思い浮かぶのは、鋭く痛む記憶が覆い隠そうとする。
2番目に好きなこと・・・。
「そうね、私は読書が好きかな」
辛いときや悲しいときは、いつも本の世界に逃げていた。
「私も読書が好きなんだ。これは意外って言われるかもしれないけど、特にファンタジーが」
「え!ほんと? 私もファンタジーが好きなの!」