ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜
今日はオズヴェルドは仕事があるらしく、朝一目会ったきりだ。
いつも自分がひとりで退屈しているときに来てくれる。テトはいつもタイミングがいいなとゆのは思っていた。
ーーーコンコンッ
「はーい!」
「ユノ、迎えに来たよ」
笑顔を見せるゆのに、頬が緩むテトの目が、ワンピースに止まった。
「そのワンピース、とっても綺麗なブルーだね」
「・・・ありがとう」
テトの瞳を考えてワンピースを選んだ、なんて恥ずかしくて言えなかった。
「じゃあ行こうか」
テトが腕を差し出す。
レヴァノンから礼儀作法として習ってはいたが、実際に腕を組んで歩くのは初めてだった。
ーーー緊張する。
扉を開けると、オルフェが立ちふさがった。
「テト様。ユノ様を連れてどちらに行かれるのですか?」
朝の手紙がテトからだと知らないオルフェは、テトが何故ゆのを連れていこうとしているのかわからなかった。
「城の中から出るわけじゃない。それに、君の護衛は必要ないよ」
「しかし、私はユノ様がいらっしゃる場所に着いていき、護衛するようにとオズヴェルド様から命令されております」
「私は君より強い。護衛はいらないよ」
「しかし・・・」
「なんなら一勝負する?」
一瞬殺気のようなものが辺りに広がった。
「テト? あの・・・」
「わかりました。ユノ様をよろしくお願いします」
あのオルフェが折れた。きっとテトも強いんだわ。確かに組んでいる手もがっしりしていて、細身に見えるのに筋肉がしっかりついている。