ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜

「行こう、ユノ」


ゆっくりとテトが歩き出す。ゆのの歩幅を考えてくれているようだ。小さな心遣いが嬉しい。




「こっちはね・・・」


オズヴェルドとはまた違った心地良い低音ボイス。

城の説明をしながら連れていってくれる。


「それ、本当・・・?」


話してくれる内容は全部面白くて、笑い声が絶えない。




「ここだよ」


ゆのの部屋の扉と同じ白の扉を開けると、その先にまた扉。


「木の扉・・・?」

「そうだよ。この扉には鍵がついているんだ」


ーーーカチャッ


ーーーギィー・・・



「うわぁ、すごい!」


見渡す限り、本、本、本!


「こんな広い図書室、初めて見た!」


広さは日本にある県立の図書館の5倍ぐらいはありそうだ。


「ファンタジーはもう少し奥なんだ」


そっと導かれてゆのは歩き出す。

その間も周りをキョロキョロして、瞳を輝かせている。

そんなゆのの顔が見れたテトは、大満足だ。



ーーーオズ兄様の側室だなんて惜しいな。
私ならすぐに正室に迎えるのに・・・。

< 37 / 208 >

この作品をシェア

pagetop