ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜
「行こう、ユノ」
ゆっくりとテトが歩き出す。ゆのの歩幅を考えてくれているようだ。小さな心遣いが嬉しい。
「こっちはね・・・」
オズヴェルドとはまた違った心地良い低音ボイス。
城の説明をしながら連れていってくれる。
「それ、本当・・・?」
話してくれる内容は全部面白くて、笑い声が絶えない。
「ここだよ」
ゆのの部屋の扉と同じ白の扉を開けると、その先にまた扉。
「木の扉・・・?」
「そうだよ。この扉には鍵がついているんだ」
ーーーカチャッ
ーーーギィー・・・
「うわぁ、すごい!」
見渡す限り、本、本、本!
「こんな広い図書室、初めて見た!」
広さは日本にある県立の図書館の5倍ぐらいはありそうだ。
「ファンタジーはもう少し奥なんだ」
そっと導かれてゆのは歩き出す。
その間も周りをキョロキョロして、瞳を輝かせている。
そんなゆのの顔が見れたテトは、大満足だ。
ーーーオズ兄様の側室だなんて惜しいな。
私ならすぐに正室に迎えるのに・・・。