ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜
「ほら、こっちだよ」
見上げた視線の先には、分厚い本たち。
「これ、全部ファンタジーの本なの!?」
「そうだよ。ユノが読みたい本を借りることもできる」
「え、借りられるの?」
「もちろん」
城の本のため借りることはできないと思っていたゆのは嬉しかった。
「昨日テトが話してた本はどれ?」
テトはいろんな本を紹介していたが、ゆのが一番食いついてきたのは・・・
「この国の王道ラブファンタジーのこと?」
「うん!」
「『交わされる約束』、だね」
一番上の棚に伸びるたくましい腕。身長が高いことがうらやましいゆのであった。
「はい」
「ありがとう!」
「他にも読みたい本はある?」
うーん・・・と悩むゆの。
「今日はこの本だけ借りることにする!読み終わったら・・・また連れてきてくれる・・・?」
テト、王子様だから忙しいでしょ? と、ぼそっと呟いている。
次の約束を欲しがるゆのがテトはとても愛おしくなった。
「ユノがまた来たいならもちろん連れてきてあげるよ」