ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜
「ありがとう、テト」
見上げることで自然と上目遣いになる漆黒の瞳。
そのまま顔が吸い寄せられそうになるのを、テトは必死に我慢した。
「・・・・・・。あっちにお茶が飲めるスペースがあるんだ。少し話をしよう」
腰に手をあてられて、ぐいっと引き寄せられる。
さっき腕を組んで歩いたときよりも、近いーーー
ドキドキするのは気のせいかな・・・?
先程歩いて来た道を少し戻り、左に曲がるとスイスイとテトは歩いていく。
「うわぁ・・・」
思わず感嘆の声をあげてしまうゆの。
そこにはテラスがあった。テラスの周りには木があって、直接日差しが当たらないようになっている。風が優しく吹いていて、気持ちよさそうだ。
「素敵だね」
ゆのの言葉に微笑んだテトは、
「さぁ、こっちに座って」
と椅子に促した。
「紅茶は好きかな?」
「大好き!」
「よかった。紅茶とクッキーを持ってこさせよう」
ポケットから何やら取り出している。
「それは・・・?」
「これは小型の鏡だよ」
アンティークチックなお洒落なデザイン。
ーーー鏡で何をするというのだろう?
パカッと鏡を開けたテトは、鏡に向かって話し出した。
「図書室のテラスにいる。紅茶とクッキーを2人分持ってきて欲しい」