ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜
耳が、テトの言葉を拾う。
ドンナ、セカイ、ダッタノーーー?
思い出す。
漆黒の瞳が見開かれる。
それと同時に、無意識に溢れる涙。
声にならない身体の震え。
「っ!」
ーーーぎゅっ
「ごめん。ユノ、ごめん」
強く、強く、抱きしめられる。
「そんなこと聞いたら、帰りたくなっちゃうよね? ・・・ごめん」
謝らないで、テト。
だって私、帰りたくないんだもん。
ゆのは伝えられない言葉を飲み込んだ。
「ごめんね、取り乱しちゃって・・・」
ゆのの身体の震えはまだ微かに残っていたが、頬を伝っていた涙は止まっていた。
異世界から来てオズ兄様の側室となったユノが、元の世界に帰りたいと言うきっかけを作ってしまった・・・
テトの心は後悔でいっぱいだった。