ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜
「こちらは異世界から来た、ユノ・ヒーラギ嬢だ。彼女は俺の側室・・・君でもその言葉は使うべきじゃない」
やんわりと不快感を示すオズヴェルド。
「ふーん・・・。観賞用ですか?」
「えっ?」
ゆのも顔を上げ、オズヴェルドもカルディアを凝視している。
「異世界から来た人間が珍しくて手元に置きたくなったのでしょう・・・? そうでなければ、正室しか取らないとあんなに頑なだった貴方様が側室を作る理由になりませんわ」
カンショウ、ヨウーーー?
時が止まった気がした。
オズヴェルドが善意で元の世界に帰るまでの間、側室としてくれていることは分かっている。
分かっている・・・けどっ
私はまた見世物なの?
異世界に来ても、見世物なの?
私はなんのために、生きているのーーー?
「ユノ!」
オズヴェルドが駆け寄るのが薄らぐ視界の中で見えた。
闇に苛まれたゆのは、そのまま意識を手放したーーー