ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜
「んーんっ・・・」
もうすぐ目覚めそうなのだろうか?
早く目覚めてくれ。理性が勝っているうちに。
そうテトが思っていると、
「ん・・・あれ、テ、ト ・・・?」
ユノが目覚めた。漆黒の瞳はぼんやりとテトを見つめている。
「ユノ。具合はどう? 大丈夫かい?」
「あれ? どうして私はベッドに・・・? あっ!」
思い出したのだろう。身体が小刻みに震えている。
「大丈夫だよ、もう大丈夫」
何があったか気になるテトだったが、そっと優しくユノを包み込んだ。
腕の中にある身体は華奢で、守ってあげたくなる。
「ユノ・・・」
ゆのは大人しく抱かれたままでいた。震えは収まってきていて、テトの胸に頭をもたれさせている。
「・・・テト、ありがとう・・・」
その一言がこんなにも嬉しい。
「ユノ、まだ本は読み終わってないよね?」
「・・・? うん」
「図書室に誘う以外にも、ここに遊びに来ていいかな?」
どうしてそんなことをテトが聞くのだろう?
「ユノ。君はオズ兄様の側室・・・。許可をもらわないと、いろいろ、ね?」
ああ、なるほど。でもゆのはオズヴェルドの本当の意味での側室ではない。
「いいよ! 楽しみにしてるね!」
ゆのが笑顔になったから。テトは本当に嬉しかった。