ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜

オズヴェルドとレヴァノン以外は知らない真実。

ゆのは、元の世界に帰るまでの側室だということーーー


沈黙だけが部屋を包む中で、テトはもう一度問いかけた。


「元の世界に帰るまでって、どういう意味なんですか? ユノは、元の世界に帰ってしまうんですか!?」


テトは動揺して、ゆのに敬称をつけるのを忘れてしまっている。



そもそも、どうして異世界から来たゆのがオズヴェルドの側室になったのかわからない。

いや、それ以前にゆのがどうやってこの世界に来たのかもわからない。

オズヴェルドの側室となったゆのに関する情報を根掘り葉掘り聞くのは無礼にあたる。そのため、誰も詳しくは尋ねなかったが・・・

ゆのがいつか元の世界に帰ってしまうのならば、話は別だ。



「ユノは、何者かによってこの世界に召喚された。召喚した人物とその理由については、現在調査中だ。元の世界に変えるまでの間、保護の意味で俺の側室とした」


淡々とオズヴェルドは事実を述べた。


「このことは、俺とレヴァノンしか知らない。不可抗力とはいえ、お前も知ってしまった。このことは、内密にしろよ」


チョコレート色の瞳とブルーの瞳が、空中でぶつかり合う。


「・・・では、ひとつだけ質問させてください」


なんだ?と目で質問を促すオズヴェルド。





「オズ兄様は保護の意味でユノを側室にしたのなら、2人の間に男女の関係はないということですね・・・?」

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