ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜
鏡と時計を贈り合うなんて、斬新だ。苦楽を共に乗り越えてきた二人だからこそ、納得できる。
そういえば、懐中時計、私も夢の中で持ってたよね・・・?
あれ、夢の中で手を引っ張られたのは、等身大の鏡に触れたからで・・・。
そう思い返してみると、まるでこの物語に出てくるアイテムではないか。
鏡といえば、オズヴェルドやテトが小型の鏡を使っているのを何度か見たことがある。
この物語は、もしかしてーーー?
「今のクロヴァローゼ国の、昔話・・・?」
口に出すと、そう思えて仕方がない。
クロヴァローゼ国を舞台に創作された物語だと思っていたが、これは本当にあった話なのかもしれない。
アリアは聖なる歌声の、漆黒の髪と瞳を持つ女の子ーーー
ドクンッーーー
その事実に気付き、体が震える。
思わず喉を抑えるゆの。
歌わない。
歌わない。
モウ、歌エナイーーー。
「イヤァァァァァァッ!」