ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜

ーーードンドンドンッ


「ユノ様! ユノ様!いかがいたしましたか!?」


焦っているようなオルフェの声が、頭の片隅で聞こえる。




歌え!

歌え!

早く歌うんだ!

お前は商品だからな。

見世物なんだから、ちゃんと歌え。

今日はお前を観賞用として欲しいと言ってきた客がいたぞ。

今度は歌以外でも利用価値がないか考えるとするか・・・。

ほら、歌えよ。



嫌だ!
嫌だ!
嫌だ!

どんなに強く思っても、アイツの声が耳にこびりついて離れない。



「ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!もう、歌えない・・・」



あんなに大好きだった歌も、憎しみに変わる。

夢を見るような、優しい歌はもう歌えない。

歌は心を映し出す。

私の心はもう枯れてしまったーーー。




全く。男に生まれてくることができなかったうえに、今度は歌も歌えなくなっただと!?

使えんな。

失語症? 緘黙症?

そんなわけない。
コイツはまだ歌えるさ。



「もう、歌えないのよっ!」


ーーーバンッ


「ユノッ!」


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