ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜
「オズ!?」
その温もりがオズヴェルドの唇だと理解したゆのは、顔が真っ赤になった。
ゆのの動揺の声を聞いても、オズヴェルドはキスの雨をやめない。
ーーーちゅっ
ーーーちゅっ
まぶたに、頬に、髪にーーー
優しく、優しく、触れていく。
ユノの悲鳴が聞こえたとオルフェから報告があったとき、オズヴェルドはパーティー準備に向けて動いていた。
ユノの部屋の守りは万全だ。
それでもクレア王妃の手先が侵入したのかもしれない・・・。
居ても立ってもいられなくなったオズヴェルドは、全速力でユノの部屋を目指した。
躊躇なく部屋を開けると、泣き叫ぶユノが視界に入った。
歌えない、と何故か悲痛な面持ちで嘆いている。
笑顔がみたいと思ったのも、その笑顔で安心すると思ったのも、ユノだけ・・・。
"歌えない"というのが、何を表しているのかなんて分からない。
それでもユノの尋常じゃない様子に、オズヴェルドは胸が痛んだ。
守りたいーーー
オズヴェルドがより一層思った瞬間だった。
そして気付けばユノを抱きしめ、キスの雨を降らしていた。
動揺するユノの顔は、真っ赤だ。
「ユノ、泣かないで・・・」