ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜
ユノは大丈夫だろうか・・・?
オズヴェルドにとって久しぶりのパーティー。
クロヴァローゼ国の貴族が全員集まっているから、煌びやかだ。
国王を励ますためのパーティーなんて大嘘に決まっている。現に、クレア王妃の横の席は空席となっていた。
ここにいる貴族の中には、ユノが異世界から来た人間だと知らない者もいる。
騒ぎ立てたりしないだろうか?
それにクレア王妃の動きも気になる。
オズヴェルドの心配は尽きなかった。
ざわついている会場には、見知った貴族もいて、挨拶したそうにこちらを見ている。
しかし、もうすぐパーティーは始まる。
そろそろクレア王妃が声をかけるだろう。
「皆の者、静粛に」
たった一声で、ざわついた会場が静かになった。
「今日はクリストフ国王のためのパーティーに皆が集まってくれたことを私は嬉しく思う」
皆がクレア王妃を見つめている。
「しかしながら今日も体調がよろしくないようで、最後の挨拶には来るとおっしゃっておられた。皆の者、それまで言葉を交わし、ダンスを踊り、日々の疲れを癒すといい」
やはりな。
国王が最後に来るかも怪しいものだ。
「それでは」
「ちょっと待ってください、お義母様」
パーティーをそのまま開始しようとしているクレア王妃を、オズヴェルドは止めた。
「何用じゃ?」
「今日は私の寵妃である側室を連れてきております。皆に紹介したいのですが」
「オズヴェルド様のご側室だって!?」
俺に側室ができたことも知らない貴族たちがざわつき始めた。
知っている者たちは、どんな女なのか興味津々と言った顔で見てくる。
「ほお。そなたに側室か。どのような方か楽しみじゃ」
俺に側室がいることを知っているくせに、初めて聞いたような顔をしやがる。
「お義母様には、まだ御紹介できていませんでしたね。今日連れてきておりますので」
そう言って、合図を送ると、係りの者が扉を軽くノックしているのが見えた。
ユノ、出番だぞ。