ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜
「それは!」
オズヴェルドの反論を予想していたのだろう。
レヴァノンは言葉を続ける。
「分かっております。しかし、ユノ様を守るためです」
側室、というものは。
王族にのみある制度で、正室とは別に女を囲うものであったような。
「待って!それは正室の方に申し訳ないです!」
「問題ありません」
「えっ・・・?」
「オズヴェルド様は24歳ですが、正室は勿論、側室もおりません」
「そう、なの・・・?」
どうやらゆのの心配は杞憂であったようだ。
「俺は側室を取らないと決めている」
静かにオズヴェルドが言った。
「そこは我慢してください。ユノ様は側室というお立場になられても、側室がするようなことをしなければよいのです。後々正室になる方には、私がご説明致します」
側室がするようなこととは・・・。
少し考えたゆのは、頬が熱くなるのを感じた。
「・・・分かった。ユノを俺の側室とする」
チョコレートのような瞳が、ゆのを見つめた。
「いつ誰が狙っているか分からない。なるべく部屋の外には出ないでくれ」
それから、と言葉を続けてレヴァノンを見た。
「ユノに貴族の御令嬢が学ぶ勉学やダンスを学ばせろ」
「承知しました」
「ミーシャにユノの世話を命ずる」