ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜
「・・・テト、あのっ」
「それは許可できないな」
後ろ側から声がして、ぐっと引き寄せられた。
細い身体は簡単に傾くが、力強い腕がゆのの身体を支えた。
「オズ!」
「オズ兄様!」
人垣を掻き分けて近付いたのはオズヴェルドだった。
「テト、悪いがユノは俺の寵妃だ。他の男に触らせたくない」
「っ!」
その言葉に反射的に顔が赤くなる。
どんな気持ちでオズヴェルドがそんなことを言っているのかは知らないが、照れてしまうではないか。
「ユノ、俺と踊ってくれるね?」
NOとは言わせない狡い聞き方。
ゆのは頷くのが精一杯だった。
パーティー会場の中央に進み出て、ダンスの構えに入った。
今流れているのは、ワルツだ。
キリのいいところで、動き出すオズヴェルド。
流れのままに、ゆのは踊りだす。
ハジも上手だったけど、オズはもっと上手だとゆのはすぐに感じた。
もちろん、気持ちの面もあるとは思うが。
ぐっと2人の距離が縮まったとき、オズヴェルドがゆのの耳元に囁いてきた。
「ユノ・・・とても綺麗だよ」