ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜

「えっ!?」


驚きでバランスを崩してしまうゆの。

しかし、それを難なく次のステップへと繋げるオズヴェルド。


「急にそんなこと言うなんて、反則だよ・・・」


チョコレート色の瞳は、いつ見ても優しい。


オズヴェルドは、テトとはデザインが違う濃紺の服を着ていた。

リンゴのような燃える赤い髪が映えて、とても似合っていた。


「オズも、かっこいい、よ・・・」

「ん?」

声が小さすぎて届かなかったようだ。

「・・・なんでもない」







「それにしてもユノ・・・綺麗になりすぎだ」

「・・・?」

「周りを見てみろ。みんなお前を見ている。これじゃあ、ずっと目が離せないな」


オズヴェルドに促されて周りを見ると、貴族の方たちがこちらを見ていた。


「オズを見てるんだよ」

貴族の御令嬢を見ながらユノは呟く。


「俺なんか見てどうする。皆が見ているのはお前だ」

貴族の御子息を見ながらオズヴェルドが答える。


オズヴェルドもゆのも、貴族たちの間では興味関心が高く、正確にはどちらも見られていた。

< 93 / 208 >

この作品をシェア

pagetop