ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜
「えっ!?」
驚きでバランスを崩してしまうゆの。
しかし、それを難なく次のステップへと繋げるオズヴェルド。
「急にそんなこと言うなんて、反則だよ・・・」
チョコレート色の瞳は、いつ見ても優しい。
オズヴェルドは、テトとはデザインが違う濃紺の服を着ていた。
リンゴのような燃える赤い髪が映えて、とても似合っていた。
「オズも、かっこいい、よ・・・」
「ん?」
声が小さすぎて届かなかったようだ。
「・・・なんでもない」
「それにしてもユノ・・・綺麗になりすぎだ」
「・・・?」
「周りを見てみろ。みんなお前を見ている。これじゃあ、ずっと目が離せないな」
オズヴェルドに促されて周りを見ると、貴族の方たちがこちらを見ていた。
「オズを見てるんだよ」
貴族の御令嬢を見ながらユノは呟く。
「俺なんか見てどうする。皆が見ているのはお前だ」
貴族の御子息を見ながらオズヴェルドが答える。
オズヴェルドもゆのも、貴族たちの間では興味関心が高く、正確にはどちらも見られていた。