ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜

「ま・・・俺はお前しか目に入りそうにない」


オズヴェルドが何やら小声で言ったが、人が多いパーティー会場では、よく聞こえない。

左手を持ち上げられて、ターンしながらゆのは聞き返す。


「なぁに?」

「ピンクサファイアもよく似合っている」


話をそらされたことはわかったが、お礼を言わないとーーー


「オズが用意してくれたんだよね! ありがとう!」

「ああ」


軽やかに踊りながら話せるなんて、オズヴェルドが相手だからだろう。


「だがな、このドレスはいただけないな」

「・・・やっぱり似合ってないよね・・・?」

「そうじゃない。肌を出しすぎだ。現に今、身体を支えるために背中に触れているが、ダンスの相手が俺じゃなかったらどうするつもりだ?」


そう言われて、意識してしまう背中を支えるオズヴェルドの大きな手のひら。


「だって・・・こんなドレスに仕上がるなんて」

「仕立て屋に言っておかないとな・・・。肌が見え過ぎるのはダメだと」



ちょうど一曲目が終わって、すぐに二曲目が流れ出した。

オズヴェルドの手を離そうとしたゆのは、再び引き寄せられた。


「え? オズ?」

「俺は"一曲踊ってくれ"、なんて言ってない 」

「・・・?」

「疲れるまで俺と踊れ。お前は俺以外とは踊らせない」

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