ここで歌うは君がため〜交わされた約束〜
「・・・心配してくれてるだけだよ。貴方は強引な人だし」
「心外だなぁ」
そう言いながらも全く気にした様子もなくダンスのリードを続けるから、何を考えているか読めない。
「オズの前に僕が君と踊ったって知ったら、オズはどう思うかな・・・?」
水色の瞳が妖しく煌めく。
「本当に貴方とオズは友達なの?」
「もちろん。普通の貴族ならダンスの邪魔をするなんて許されない。だけど、僕は友人だからね」
微笑みが嘘臭く見えるが、咎められていないから本当なのだろう。
しばらく無言でステップを刻む。
横目でオズを見ると、御令嬢たちの誘いを断っていた。
「安心した?」
意地の悪そうな顔でハジが聞いてくる。
「・・・別に」
「君といると、本当に退屈しなくていいね」
何を考えているかわからないから、やっぱりこの人は苦手だとゆのは改めて思った。
そのときーーー
「新しいダンスの仕方、私も見習うよ」
「テト!」
ハジとのダンス中に、今度はテトが割り込んできた。
ユノの手を握っているのはハジではなくテトになっている。
「テト様なら仕方ないね」
そう言って、苦笑しながらハジは離れていった。