【企画】春の風に乗せて
でも…
「たしかに」
高木くんがそう言ったのが聞こえた。
わかってても大好きな高木くんに言われるとだいぶショック。
するとそれに追い打ちをかけるように。
「俺が話しかけても反応薄いし…」
え?
「もう話しかけるのやめようかな」
そう聞こえた時にショックすぎて手に持っていたカバンを落とした。
やばっ…
その音に気づいた教室のみんながこちらに振り向いた。
「渡辺…っ?」
びっくりした様子の高木くんに涙がジワッと滲んで。それを見られたくない私は急いでカバンを拾い上げて廊下を走った。
涙で視界がゆがむ。
ーー「話しかけるのやめようかな」
そんな…
イヤだ。もっと話したい。
高木くんが、好きだから。