チャット恋愛注意報!!2 ~メガネ男子とハプニングkiss !?~ (旧)
すぐ目の前に、雪村さんの顔。
時間にすれば1秒ほどの僅かな中で、私たちは確かに見つめ合っていた。
「……ありがとう」
「……え? あっ、いえっ……」
何事もなかったかのように動き出す電車と同じように、何事もなかったかのように元の位置に立つ雪村さん。
けれど私の心臓は、ドキドキと大きな音を立ててた。
……昨日のことが鮮明に頭に浮かぶ。
雪村さんは平然と私のそばに居るけれど、でも私、この人にキスしちゃったんだよね……。
今までなんでもないような顔で話をしていたけれど、私、この人の唇に……──。
「咲良」
「は、はいっ……!?」
ボボボッと顔が赤くなって、声が上擦る。
雪村さんは口元に手をやりながら私を見ていた。
その姿が昨日とかぶって、私の顔はもっともっと赤くなる。
「……なんか、ごめん」
「い、いえ……大丈夫です……」
何に対しての『ごめん』なのかは、よくわからない。
自分で言った『大丈夫』も、何に対してなのかよくわからない。
だけどそれでも、そう言うしかなかった。
それしか言えなかった。