バニラ
。.*.。.*.。.*.。

「大丈夫ですから!
 降ろしてください。」

「何言ってるんです、ふらふらしてて、
 大体あなたは軽すぎます。
ちゃんと食べてるんですか?」

「食べてますよ。
 いつも賄い戴いてるじゃないですか。」

「そうですね。今度はちゃんと栄養も考えて出さないといけないですね。」

「いや、そういうことでなく。」

いきなりお姫様だっこされて、
顔から火が出るくらい恥ずかしい。

和臣さんてば、物腰が柔らかい癖に、
ガテン系なんだもん。(古いか?)
 
「ふうっ」

公園の傍に通りかっかったところで、大きくため息ついた。


「さすがにこのまま店までは行けそうにないか。
 そこのベンチで一度休みましょう。」

まるで壊れ物を扱うようにベンチに降ろされる私。

「だ、だから大丈夫って言ったのに!」

ははっって笑って、

「待ってて?」

そう言って、わたしのかたにポンと手を置いてから、
ちょっと離れた自販機にドリンクを買いに行ってしまった。


< 6 / 26 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop