僕の彼女は未来型（Lastsiensficton）

存在する距離

インテリアに興味をもったのは、やはりSFからだった


近未来的なものを題材にした作品はどれも興味を持った、もちろん作品自体も好きだったが、その作品に出てくる、空を飛ぶ乗り物や時代を駆け巡る機械や、ロケットどれも興味を惹かれるものだった。


それから、僕は未来の世界の虜になった。
でも、実際にインテリアを学びながら、やってきて、過去にこそすばらしい造詣美があるのがわかった。
同じくらいに好きでしかたなかった。
だから、聡に言われて初めて気付いた。


今までは、趣味として未来を捉えていたのかもしれない。


聡に言われて、僕は帰り道にある古本屋の『瀬賀書店』に行き、馴染みの店員と話ながら、色んな画集や映画のフィルムの載った本を読んだ。


色んなイマジネーションが頭に入り、何となく描けそうな気がしていた。


部屋に帰ったら、課題が出来そうにないので、図書館によった。


図書館は夕暮れの緩やかな明かりの中、帰宅途中の社会人やら、学生の勉強組やらで溢れていた。


僕は、薄茶色の丸型ソファーに座り、カバンから学部支給のモバイルパソコンを出して、建築雑誌を見ながら色々アイディアを出していた。


『椎名くん？』


ふと、声を掛けてくれたのは、同じ学部に在籍している佐伯響子（さえききょうこ）だった。
同じ学部といっても対した面識もない自分を知っていたのもびっくりしたが、学部の中でも有名なくらいのマドンナ的な存在の彼女から話し掛けられるとは思わなかった。


彼女は優しくほほ笑みながら、こちらに手を振った。

僕はというと、多分、道に迷った子犬の様に、妙に挙動不振に振る舞っていたに違いない。


一応、手を振ってみる。


佐伯響子は、笑顔で、こちらに来た。
白いワンピースを着た彼女は、長い黒髪と綺麗にマッチしていて、純和風な綺麗な顔立ちではあった。


僕はというと、ヨレヨレのジーンズに洗濯をして、擦れている文字のモスグリーンのTシャツ。


まるで、昼間のランチの様な貧富の差を感じる。


情けなくなりながらも、一生懸命な笑顔をとりつくろう。