くろねことわたし
話してみようと思った。
昨日の出来事。朝の出来事。
絶対に信じてくれないと思ったけど、自分の中で気持ち悪かった。誰かに打ち明けたいと思った。
「あついなーっ」
都は窓側に寄り、下敷きをうちわ替わりにしてあおいでいる。
「ねえ、都」
「んー?」
都は窓の外を向いたまま返事をした。
「信じないと思うけど、昨日さ変な男の人に腕掴まれてどこか連れてかれそうになったの。それに、朝も家の目の前にいてさ」
都はこっちを向いて、はあ?って顔をした。
「何何何、ストーカーでもされてんの?あんた」
「朝なんて、早く帰って来て、待ってるから、みたいなこと言われたし」