くろねことわたし
深緑のパーカーのフードを深くかぶり
ポケットに手をいれながら
こちらをじっとみつめている。
とても顔立ちの整っている。
それはもう驚くほどに。
いつからそこに立っていたのか。
気配を消して。
じっとみつめたまま目線をそらさない。
なんだか気まずくなってわたしは一度目をそらした。もう一度みる。
周りには人の気配はなく、
わたしと男の人と二人きり。
さっきの猫はもうどこかへいってしまい
ちらりとも姿がみえない。
「あのう…」
わたしは口を開いてみた。
「ふぅー…」
私の目の前に立ち尽くす彼は
ひとつため息をついた。
ポケットから手をとりだすと
フードを深くかぶりなおした。
「君は、少しばかり休んだ方がいい」
え?