【企画】キミへの合図はサクラの音色
だけど、そうはいかなかった。
「えぇ!?ひーくんどっか行っちゃうの……?」
「……うん。パパの仕事で行かなきゃいけないんだ」
卒園式の日、ひーくんから小学校からは別々なんだと教えてもらった。
ひーくんが引っ越しちゃうなんて想像もしてなくて、私は大泣きしたのを覚えている。
「うぅ……っ、ひーくんヤダよぉ~……っ」
「ごめんね。また桜笛しようって約束してたのに」
「一緒にしたかったよ……ひーくん……っ」
ひーくんは少し困った様子で私の頭を撫でた。
「大きくなったらまたいつか会おうね」
「……うん!」
ひーくんの言葉に大きく頷いて、私は涙を拭った。
ひーくんに、またいつか会えると信じて―――