本当にすきなひと

去年


告白されて時はすぎ、夏となった。

あたしと彼氏は結ばれ、みんなから応援された。


もちろん、爽太からも…


「おめでと、木之本
がんばれよ!」


「なんで、名字でよぶの?」


「だってお前は、渓斗の彼女だろ」


「そうだけど…

でも…」


それ以上返す言葉がなかった。


「爽太っ、じゃなくて、橘は、すきなひととかいるの?」



「いるよ」


胸がチクッとした


あたしには渓斗がいるのに…


でもそのときあたしは、爽太のことをまだすきとみとめなかった。


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