危険なアイツと同居生活
近くから、おぉーっと声が上がる。
だけどあたしは見向きもせず、一点のみを見つめる。
スポットライトに照らされた場所。
そして、そこに現れた蒼に息を飲む。
濡れた髪がその額を流れる。
鋭い眼光に、誘うような唇。
漆黒の細身のスーツから覗く胸板。
全てが魅力的で、かっこよくて。
あたしのファン心が揺れ動く。
だけど……
だけど負けない!!
ゆっくりと蒼に近付く。
蒼はあたしを見て、少しだけ笑った。
手を伸ばし……
手を取り合い……
手を引いた。
「唯ちゃん、可愛い。
……あとは、俺に任せて」
蒼は小声で耳打ちした。
胸がじーんと熱くなった。