危険なアイツと同居生活
「碧、良かったよ。
唯ちゃんも」
スーツの偉そうな男がそう言ってあたしを見下ろす。
そして、握手を求めるように差し出した。
蒼の余韻に浸りながら、その手を握るあたし。
この手が蒼の手だったらいいのにと、今でさえ思う。
あたしは重症だ。
「映像確認しました!すごい!!」
「マジか、でかしたぞ!」
優弥さんまでモニターを覗いていて、何だか気恥ずかしくなった。
「唯ちゃんは確認しねぇ?」
相変わらず無表情の優弥さんが言うが、
「あたしは……MVが出来上がるまで楽しみにしています」
そう答えた。
今、見てしまうと、アタマがおかしくなると思った。
きっと蒼にドキドキして、また求めてしまうと思った。
あたしは……
ただの同居人として、マナーを守らないと。