危険なアイツと同居生活
仕方なく、蒼の部屋を掃除する。
それでも、蒼の部屋にはあたしのファン心をくすぐるものがたくさんあった。
新曲らしき楽譜に見入っていたら、渋い顔をした蒼に取り上げられた。
ギターの弦を弾いてみたら、切れてしまった。
蒼が頬を膨らませていた。
「もう!
唯ちゃん、全然話にならないや」
終いには音を上げる蒼。
「掃除はおしまい。
唯ちゃんにもお礼しないといけないし」
「お礼?」
思わず聞くと、蒼はいつもの笑顔であたしを見た。
「うん。MVの一件の。
何か欲しいもの、ある?」
あたしは多くを望まない。
でも、願いを叶えてもらえるなら、この幸せが一生続きますように。
あたしがずっと、蒼の彼女でいれますように。
「唯ちゃん、教えてよぉ」
何も言わないあたしを見て、プーっと拗ねる蒼。
「欲しいのは……蒼かな」
「そっか」
蒼はそう言って、あたしの身体に手を回す。
「唯ちゃん、後悔しないでね?
……唯ちゃんが悪いんだよ?」
あたしは朝から蒼に狂わされる。