危険なアイツと同居生活







午前一時。

俺は灯りの消えた家に帰宅する。





「ただいまぁ……」




そう言ってもやっぱり返事はない。

あの、優しい笑顔の唯ちゃんはいない。






散らばった服。

洗っていない食器。

萎れている花。

唯ちゃんがいないと、全てが上手くいかない。

そして、影で唯ちゃんが支えてくれていたことに気付く。




真っ暗な唯ちゃんの部屋は、きちんと片付いていて。

机の引き出しには、大切そうにFのポスターが畳んで入れてあって。

それを見ていた俺は……

泣いていた。







唯ちゃん……

唯ちゃんの気持ち、気付かなくてごめんね。

俺が失いたくないものは、唯ちゃんだよ。



< 149 / 528 >

この作品をシェア

pagetop