危険なアイツと同居生活




蒼はあたしを見て、少しだけ微笑んだ。

そして、その手で撫でるようにギターを鳴らす。

ギターは優しい音色で甘い音をたて、少し歪みを効かせてスピーカーから流れる。



あぁ……

こんな優しい音色、聞いたことがない。

やっぱり、蒼は天才。





前奏が終わり、蒼の声が響く。

いつもの碧と同じ声なのに、どこか棘がなく優しい。

それでも、あたしの耳を甘く痛めつけ、とかしていく。




聞こえてくるのはオリジナルの曲にアレンジを加え、変化に富んだ旋律。

その予測不可能なメロディーにあたしの心はドキドキを隠せない。

こんな贅沢なライブがあるなんて。

お金では買えない感動がそこにあった。



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