危険なアイツと同居生活





「今日はユージが来れなくて、友達がヘルプに来てくれました!」




その言葉に、




「ヘルプの蒼です」




にこにこ笑顔の蒼が言う。

それは、碧とはかけ離れている本当の蒼の姿。

のびのびした蒼を見て、何だか嬉しくなった。




「ユージの代わりが出来るように、精一杯やらせてもらいます!」





その言葉を合図に、ドラムが響く。

そして始まる蒼のヘルプステージ。

蒼は楽しそうにギターを演奏して、難しいメロディーもさらっとこなす。

人々は揉みくちゃになってジャンプして、あたしも慎吾とはしゃいでいた。




爽やかな恋愛ソングに、失恋バラード。

蒼の奏でる音色は温かくて、そして優しい。

繊細で、美しい。

まるで、蒼そのもので。

蒼に包まれているような錯覚に陥る。




碧もいいけど、たまには蒼もいいな。


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